消えつつある“原資産”の垣根
米国市場で取引されているオプションは、大きく2つに分類されます。
一つは、株式や株価指数を原資産とする「証券オプション」。
もう一つは、通貨先物、商品先物、債権先物などの先物を原資産とする「先物オプション」です。
これら2つのオプションの間には、長い間大きな垣根がありました。
トレーダーは、証券オプションを取引するためには証券ブローカーに、先物オプションを取引するためには先物ブローカーにそれぞれ取引口座を開く必要がありました。
ところが、最近そのような区分けが消えつつあります。
例えば、Interactive Brokers社のように、単一の取引口座を開くだけで先物オプションと証券オプションの両方が取引可能になるブローカーが出てきました。(※1)
S&P 500やダウ平均などのオプションが上場し、株価指数オプション取引において米国最大の取引量を誇るシカゴ・オプション取引所(CBOE)は昨年、先物取引を扱うCBOE先物取引所(CFE)を設立しました。
これにより、証券オプションと、証券市場から派生した先物取引が同一のプラットフォームで取引されるようになりました。
さらに、株券オプション取引において米国一の取引量を誇るインターナショナル・セキュリティーズ取引所(ISE)では、2007年から通貨オプションの取引を開始するとしています。
今まで通貨オプションの取引は、先物ブローカーまたはFOREX専門のブローカーを通さないと取引できませんでしたが、来年からは普通の証券ブローカーからでも取引できるようになるのです。
このように、オプションの原資産の“垣根”が無くなっていく動きは、今後ますます加速していくことでしょう。
一つは、株式や株価指数を原資産とする「証券オプション」。
もう一つは、通貨先物、商品先物、債権先物などの先物を原資産とする「先物オプション」です。
これら2つのオプションの間には、長い間大きな垣根がありました。
トレーダーは、証券オプションを取引するためには証券ブローカーに、先物オプションを取引するためには先物ブローカーにそれぞれ取引口座を開く必要がありました。
ところが、最近そのような区分けが消えつつあります。
例えば、Interactive Brokers社のように、単一の取引口座を開くだけで先物オプションと証券オプションの両方が取引可能になるブローカーが出てきました。(※1)
※1
また、取引所においても融合が進んでいます。
ただし、Interactive Brokers社で取引可能な先物オプションは、CMEとCBOTの電子市場に上場されている一部の銘柄に限られます。
S&P 500やダウ平均などのオプションが上場し、株価指数オプション取引において米国最大の取引量を誇るシカゴ・オプション取引所(CBOE)は昨年、先物取引を扱うCBOE先物取引所(CFE)を設立しました。
これにより、証券オプションと、証券市場から派生した先物取引が同一のプラットフォームで取引されるようになりました。
さらに、株券オプション取引において米国一の取引量を誇るインターナショナル・セキュリティーズ取引所(ISE)では、2007年から通貨オプションの取引を開始するとしています。
今まで通貨オプションの取引は、先物ブローカーまたはFOREX専門のブローカーを通さないと取引できませんでしたが、来年からは普通の証券ブローカーからでも取引できるようになるのです。
このように、オプションの原資産の“垣根”が無くなっていく動きは、今後ますます加速していくことでしょう。
電子取引の普及がもたらす影響
市場のボーダーレス化を進めるもう一つの要因は、米国の先物市場における取引の電子化です。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)では、2006年のオプションの電子取引高が前年の約2倍にまで急増しています。
現在、全取引の約70%が電子取引によるものとなっており、取引所のフロアで人間同士が取引を行う「オープン・アウトクライ方式」の取引割合は年々低下しています。
また、ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)は2006年9月から原油や天然ガスなどのエネルギー市場の先物を、CMEの電子取引システム「Globex」で取引できるようにしました。
これにより、日中のフロア取引とも並行し、エネルギー市場の先物が24時間いつでも電子市場で取引可能になりました。(※2)
現在では、電子取引の割合が40%程度にまで増加しています。
今後、Interactive Brokers社のように安い手数料を売りとして、証券、先物、通貨といった区分無しに投資家に電子取引環境を提供するブローカーが増えてくるでしょう。
先物オプションは、電子市場で活発に取引されているものは一部の金融市場に限られていますが、ここ数年で取引高が飛躍的に伸びており、近い将来、オープン・アウトクライに代わって電子市場が主戦場になることは間違いありません。
そして、電子取引の普及によって最も大きな恩恵を受けるのは、海外から取引をしている投資家ではないでしょうか。
流動性に富んだ米国のオプション市場で、時差を気にせず、ほぼ24時間いつでも取引できるというのは、日本のオプショントレーダーにとっても大きな魅力です。
それと同時に、国内の取引所は厳しい競争時代に突入したといえます。 これからは世界中の取引所がライバルとなり、サービス面での競争を強いられるようになります。
先物市場ではすでに、国境を越えた取引所の合併・買収が進んでいます。
欧州最大の金融電子取引所であるドイツのユーレックスは、欧州の証券取引所連合ユーロネクストとの提携交渉を進めています。
また、米国シカゴの2大取引所であるCMEとCBOTは、2007年中頃をめどに合併することを決定しており、近く「CMEグループ」という世界最大の取引所になります。
さらに、米国アトランタのインターコンチネンタル取引所(ICE)は、砂糖やコーヒー等の先物・オプションが上場しているニューヨーク商品取引所(NYBOT) の買収に名乗りを上げています。
世界規模での取引所の再編、そしてそれに伴う市場のボーダーレス化と電子化によって、日本のオプショントレーダーがより自由に取引を行えるようになることは、素直に歓迎すべきことだと思います。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)では、2006年のオプションの電子取引高が前年の約2倍にまで急増しています。
現在、全取引の約70%が電子取引によるものとなっており、取引所のフロアで人間同士が取引を行う「オープン・アウトクライ方式」の取引割合は年々低下しています。
また、ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)は2006年9月から原油や天然ガスなどのエネルギー市場の先物を、CMEの電子取引システム「Globex」で取引できるようにしました。
これにより、日中のフロア取引とも並行し、エネルギー市場の先物が24時間いつでも電子市場で取引可能になりました。(※2)
現在では、電子取引の割合が40%程度にまで増加しています。
※2
米国の先物市場の電子化は、近い将来オープン・アウトクライ方式の取引に終わりをもたらすと同時に、すでに完全電子化に成功している証券市場との融合を容易にします。
Globexで取引できるエネルギー市場は先物のみ。 原油先物オプションや天然ガス先物オプションといったエネルギー市場の先物オプションは、今はオープン・アウトクライ方式でのみ取引可能です。(2006年10月現在)
今後、Interactive Brokers社のように安い手数料を売りとして、証券、先物、通貨といった区分無しに投資家に電子取引環境を提供するブローカーが増えてくるでしょう。
先物オプションは、電子市場で活発に取引されているものは一部の金融市場に限られていますが、ここ数年で取引高が飛躍的に伸びており、近い将来、オープン・アウトクライに代わって電子市場が主戦場になることは間違いありません。
そして、電子取引の普及によって最も大きな恩恵を受けるのは、海外から取引をしている投資家ではないでしょうか。
流動性に富んだ米国のオプション市場で、時差を気にせず、ほぼ24時間いつでも取引できるというのは、日本のオプショントレーダーにとっても大きな魅力です。
それと同時に、国内の取引所は厳しい競争時代に突入したといえます。 これからは世界中の取引所がライバルとなり、サービス面での競争を強いられるようになります。
先物市場ではすでに、国境を越えた取引所の合併・買収が進んでいます。
欧州最大の金融電子取引所であるドイツのユーレックスは、欧州の証券取引所連合ユーロネクストとの提携交渉を進めています。
また、米国シカゴの2大取引所であるCMEとCBOTは、2007年中頃をめどに合併することを決定しており、近く「CMEグループ」という世界最大の取引所になります。
さらに、米国アトランタのインターコンチネンタル取引所(ICE)は、砂糖やコーヒー等の先物・オプションが上場しているニューヨーク商品取引所(NYBOT) の買収に名乗りを上げています。
世界規模での取引所の再編、そしてそれに伴う市場のボーダーレス化と電子化によって、日本のオプショントレーダーがより自由に取引を行えるようになることは、素直に歓迎すべきことだと思います。