カバードワラント(Warrant)   (2004年9月17日)


オプション型の投資商品

最近、ネット証券でもカバードワラントを取り扱う会社が増えてきました。
カバードワラントとは、オプション型の投資商品の一種です。
基本的な仕組みはオプションと同じですが、大きな違いは、「オプションが市場で取引されるのに対して、カバードワラントは発行会社を通して取引される」という点です。

魚に例えると分かりやすいかもしれません。
オプションは卸売市場で取引される、取れたての魚のような物です。
魚の値段は、卸売市場で「売りたい人」と「買いたい人」の合意によって決まります。
一方、カバードワラントは、スーパーで売っているパック詰めされた魚のような物です。  魚の値段は、スーパーが決定します。
このスーパーというのが、カバードワラントを発行している会社です。

具体的にいうと、カバードワラントはある会社が売っているコール・オプション、またはプット・オプションのことです。
これらは、「コール型ワラント」とか「プット型ワラント」などと呼ばれますが、仕組みはコール・オプションやプット・オプションと全く同じです。
コール型ワラントは、ある物をある日時にある価格で買う権利、プット型ワラントは売る権利のことです。

日本で取引可能なカバードワラントは、ゴールドマン・サックス社が発行している「eワラント」が有名で、取引できる証券会社も多いです。

オプション取引との比較 <カバードワラントのメリット

  1. 取り扱い商品が豊富
    日本では企業の株券オプションがほとんど取引されていないが、カバードワラントでは200銘柄以上の株に対してのコール型、プット型のワラントが取引可能。 その他、株価指数などのワラントも種類が豊富にある。
  2. 流動性を気にする必要がない
    市場で1対1で取引されるオプションとは違い、カバードワラントは会社が発行するものなので、取引相手のことを気にせずにいつでも売買できる。
  3. 取引できる時間帯が長い
    オプションは市場の取引時間内でなければ売買できないのに対し、カバードワラントは発行会社の営業時間内であればいつでも売買できる。

オプション取引との比較 <カバードワラントのデメリット

  1. 価格が投資家にとって不利
    カバードワラントは、ある会社を通したオプションの「小売り」のようなものなので、価格付けは購入者にとって不利に設定される。
    発行会社は、ワラントの買値と売値の2つを別々に設定しており、売値は買値よりも常に高い。
  2. 新規に売ることができない
    オプションは新規に売り建てることができるが、カバードワラントは買ってから転売するという選択肢しかない。
    オプションの売りというのは利益になる可能性が高い取引であるため、これが出来ないというのは大きなデメリットとなる。
  3. ハイリスク・ハイリターンというけど……
    もし相場が期待通りに動けば、投入資金の何倍もの利益を得られる。 しかし、オプションの買いと同様、利益になる可能性は非常に低いという特徴がある。
    そして、新規の売りができないため、買いの勝率を上げるためのスプレッド(売買の組み合わせ)を使うこともできない。
    ハイリスク・ハイリターンと謳いつつ、発行会社が一人勝ちする仕組みのような気がしないでもない。

金融商品としてどうなの?

ちょっと割高な宝クジと考えれば良いかもしれません。
投入資金が何倍にもなる可能性があるということと、基本的に勝率が低いということを理解した上で、投機的に購入するぶんには問題ないと思います。

しかし、オプション取引を理解している方であれば、あえてカバードワラントを買う理由は見当たりません。
カバードワラントでは、発行会社という「胴元」(売り手)に対して勝つことは僅かな望みですが、オプション取引では自分自身が胴元となり、リスクをコントロールしながら自由に売買することが出来るのですから。
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