13.オプションの売りで利益を得る
■ オプションの売り
前回はオプションの買い戦略について説明したね。
オプションを買って利益を得るためには、相場が大きく動きそうなときを狙うと。
そうだったね。
今回はその逆。 オプションの売りで利益を得るトレードを考えてみよう。
今回はその逆。 オプションの売りで利益を得るトレードを考えてみよう。
■ 平坦な相場を利益機会に変える
オプションの売り戦略では、買い戦略とは反対の考え方が必要になる。
つまり、オプションの売りでは、相場が大きく動きそうにないときを狙う。
つまり、オプションの売りでは、相場が大きく動きそうにないときを狙う。
オプションの売りは、相場が予想と逆に動いたとしても、変動が小さければ利益になる確率が高いんだよね。
でも、相場が予想に反して大きく動いた場合は、無制限の損失になる・・
でも、相場が予想に反して大きく動いた場合は、無制限の損失になる・・
そのとおり。
だから、原資産市場に大きな影響を与えるイベントの間近や、大きなトレンドが起こる間近(またはトレンド形成中)は、オプションの売りにとっては不利だ。
また、インプライド・ボラティリティが低い水準にあるときも、オプションの売りは極力避けた方が良い。 理由はボラティリティの活用で説明した通りだよ。
だから、原資産市場に大きな影響を与えるイベントの間近や、大きなトレンドが起こる間近(またはトレンド形成中)は、オプションの売りにとっては不利だ。
また、インプライド・ボラティリティが低い水準にあるときも、オプションの売りは極力避けた方が良い。 理由はボラティリティの活用で説明した通りだよ。
リスクを管理して良いタイミングで仕掛ければ、高い確率で利益になるっていうのがオプションの売りの魅力なんだよね。
うむ。 オプションの売りでは原資産の幅広い価格帯で利益を得られるから、相場を正確に予測しなくても良いという利点がある。
■ カジノの胴元のような立場でトレードする
オプションの売りでは、アウト・オブ・ザ・マネーのコールとプットを両方売る「ショート・ストラングル(※)」という売買戦略が良く使われる。
※
ショート・ストラングルは、別名ニュートラル・オプション・ポジション・スプレッド(NOPS)とも呼ばれる。
ニューヨークの金先物に対して、ショート・ストラングルを仕掛けた際の損益グラフ。 金先物価格が445ドルの時に、権利行使価格500ドルのコールと、権利行使価格400ドルのプットを売っている。 トレーダーは満期日において、金先物の幅広い価格帯(396ドル~503ドル)で利益を得ることができる。
コールとプットを同時に売ることで、何かメリットがあるの?
相場に対して中立の立場を取っているから、変動が急激でないかぎり、相場がどちらに動いても利益が得られるというのがショート・ストラングルの利点だ。
【ケース1】 原資産価格が上がった場合
【ケース2】 原資産価格が下がった場合
原資産の価格がどう動いても、どちらか一方のオプションが、もう一つのオプションの損失をカバーするってことか。
コールもプットも、タイム・ディケイによって価値が下がっていくということか。
そういうことだね。
ここで、タイム・ディケイの特徴をおさらいしておこう。
ここで、タイム・ディケイの特徴をおさらいしておこう。
満期が近づくにつれて、時間価値は急速に減少するんだっけ。
そのとおり。
オプションの売りによって、タイム・ディケイの恩恵を大きく受けるためには、満期までの期間が短いオプションを売るのが望ましい。(※)
オプションの売りによって、タイム・ディケイの恩恵を大きく受けるためには、満期までの期間が短いオプションを売るのが望ましい。(※)
※
タイム・ディケイのスピードは、オプションの権利行使価格やボラティリティによっても多少異なる。 一般に、満期までの期間が15~35日ほどのオプションを売ることで、タイム・ディケイの恩恵を最大限に受けることができる。
ほほぉ。 相場がどっちに動いても変動が小さければ関係ないし、更にタイム・ディケイによって利益が生まれるんだ。
今後、相場が上がるかもしれないと思ってコール・オプションを買う人と、下がるかもしれないと思ってプット・オプションを買う人に対して、コールとプットを両方売るショート・ストラングルを仕掛ければ、どちらが勝っても利益を得られるポジションとなる。
カジノの胴元のようなポジションというわけだね。
カジノの胴元のようなポジションというわけだね。
素晴らしい! こりゃオプション売りまくるしかないわ!
しかし! ハウェバー!
オプションの売りには、常に大きなリスクが伴うことを忘れてはいけない。
ショート・ストラングルを仕掛けた後、相場が予想を超えて大きく変動した場合には、一方のオプション・プレミアム(価格)が急騰してしまう。
そういうケースでは、もう一方のオプション・プレミアムやタイム・ディケイによる恩恵など吹っ飛んでしまい、大きな損失を被ることになるよ。
オプションの売りには、常に大きなリスクが伴うことを忘れてはいけない。
ショート・ストラングルを仕掛けた後、相場が予想を超えて大きく変動した場合には、一方のオプション・プレミアム(価格)が急騰してしまう。
そういうケースでは、もう一方のオプション・プレミアムやタイム・ディケイによる恩恵など吹っ飛んでしまい、大きな損失を被ることになるよ。
うっ・・!
オプションの売りは損失が無制限なんだよね。 うっかり忘れてた。
オプションの売りは損失が無制限なんだよね。 うっかり忘れてた。
あらゆる投資・トレードの入門者に言えることだが、利益だけに目が行ってしまい、リスクを忘れてしまうことが多々ある。 これは一番避けなければならないことだ。
オプションの売りを行う際には、必ず損失を限定するための出口戦略を用意しておくことが何よりも大切だよ。
相場が自分の予想を超えて動いた時や、一定の時間が経過した時。 またはオプションのプレミアムが一定の水準に達した時など、自分でルールを決めてポジションを手仕舞うことを必ず実践してほしい。
加えて、資金に十分な余裕があることも重要だよ。
オプションの売りには証拠金(※)が必要だから、資金に余裕がないとポジションを維持することさえ困難になるからね。
オプションの売りを行う際には、必ず損失を限定するための出口戦略を用意しておくことが何よりも大切だよ。
相場が自分の予想を超えて動いた時や、一定の時間が経過した時。 またはオプションのプレミアムが一定の水準に達した時など、自分でルールを決めてポジションを手仕舞うことを必ず実践してほしい。
加えて、資金に十分な余裕があることも重要だよ。
オプションの売りには証拠金(※)が必要だから、資金に余裕がないとポジションを維持することさえ困難になるからね。
※証拠金
オプションの売りにおける潜在的なリスクは無制限であるため、将来の損失に備えて、証券会社に預けなければならない資金のこと。
取引口座の残高が証拠金の額を下回った場合、追加証拠金(追証)の入金を指示されたり、強制的にポジションが決済されるなどの処置に見舞われる。
取引口座の残高が証拠金の額を下回った場合、追加証拠金(追証)の入金を指示されたり、強制的にポジションが決済されるなどの処置に見舞われる。
うーん、なるほど。
オプションの売りは利益になる可能性が高いけど、潜在的には無制限の損失リスクがあるから、自分でリスクを管理することがすごく大切なんだね。
オプションの売りは利益になる可能性が高いけど、潜在的には無制限の損失リスクがあるから、自分でリスクを管理することがすごく大切なんだね。
いかにして大きな損失を出さず、コンスタントに利益を上げていくかということが売り戦略のポイントとなる。 そのためには、リスク管理が何よりも重要な要素になるんだ。
そこで次回は、より安全にオプションを売るための戦略を紹介しよう。
そこで次回は、より安全にオプションを売るための戦略を紹介しよう。
- 1.オプション取引の利点
- 2.オプションの基本
- 3.コール・オプション
- 4.プット・オプション
- 5.損益のまとめ
- 6.時間価値と本質的価値
- 7.カバード・オプション
- 8.ボラティリティとは?
- 9.ボラティリティの活用
- 10.株の保険1
- 11.株の保険2
- 12.投機としての買い
- 13.売りで利益を得る
- 14.売りの損失を限定する
- 15.ギリシャ指標(デルタ、ガンマ、ベガ、セータ)
- 16.デルタの活用
- 17.オプション取引入門 まとめ