17.オプション取引入門講座のまとめ




■ オプション取引のまとめ

前回までの講座で、オプション取引の基礎知識から、実戦の取引に必要なノウハウまで、基本的な部分は一通り説明したよ。


新しいことをたくさん覚えたけど、いろいろ忘れてるかもしれん。


うむ。 そこで今回は、オプションについて簡単にまとめてみる。
十数回にわたって解説してきたオプション講座も、いよいよ今回で最後だ。


思えば長かったねぇ。




■ オプションの特徴 ~ 利益機会とレバレッジ

オプションには、他の投資には無い、次のような特徴がある。


1.横ばいの相場で利益を得ることが可能

横ばい相場で儲ける
アウト・オブ・ザ・マネーのオプションを売ることによって、横ばいの相場でも利益を得られることが、オプションの利点の一つだったね。
時間価値しか無いオプションを売り、タイム・ディケイを利用して利益を得る。
 → 関連 「オプションの売りで利益を得る


2.損失を限定しつつ、レバレッジを得られる

レバレッジ
そして、上向きや下向きの相場では、オプションの買いによってレバレッジの利いた利益を得ることが可能だ。
相場が大きく変動するときを狙えば、オプションの買いによって高いレバレッジを得ることができる。
 → 関連 「投機としてのオプション買い




■ 保険としてのオプション ~ プット・オプションの活用

売買によって利益を得ようとするのではなく、株の資産を守る保険としてオプションを利用することも出来る。
保険としてのオプション


原資産を保有している場合、プット・オプションが保険として機能することを覚えたよ。


株を買って、無防備なまま長期的に保有することは、実はリスクが高いんだ。
プット・オプションを使えば、万が一の暴落に備えることができて、株の損失のリスクを減らせるということだね。
オプションが保険として機能する仕組みは、 「株の資産に保険を掛ける」「株にまとめて保険を掛ける」にて解説。




■ カバード・コール ~ 原資産との組み合わせ

オプションと原資産を組み合わせて、ローリスクで利益を得る方法もあったね。


<カバード・コールの仕組み>

カバード・コールの仕組み
原資産の株を保有することで、コール・オプションの売りが「カバー」される。
これによって、原資産の価格が上がっても下がっても利益が得られるポジションになるんだったね。

ただし株価が大幅に下落した場合は、株の損失がオプションの利益を上回り、短期的には損をすることもあるよ。
相場に関係なく勝てるポジションを作れるのが、オプションの利点の一つ。
 関連 → 「カバード・コール




■ ボラティリティ ~ オプションの売買指標

以前はまったく知らなかった「ボラティリティ」というのも覚えたよ。


1.ヒストリカル・ボラティリティ

ヒストリカル・ボラティリティー

2.インプライド・ボラティリティ

インプライド・ボラティリティ(IV)
  • 原資産価格
  • 権利行使価格
  • 満期までの時間
  • 金利
  • 実際のプレミアム
過去の原資産価格の変動から計算されるHVに対して、IVは実際に市場で取引されているオプション価格(プレミアム)から計算されるボラティリティ。
オプションのインプライド・ボラティリティ(IV)は、「原資産の価格が将来どれくらい動きそうか?」というマーケットの意見を示すものとも言える。
このIVを見ることによって、そのオプションが割高か割安かを判断することができるんだったね。 実際のトレードでも、IVは有益な判断材料になるよ。


  オプションのプレミアム ボラティリティの今後の動き 有利・不利
オプションのIVが高い水準にある

高価格

下落する可能性が高い オプションの売り手にとって有利、買い手にとって不利な状況。
オプションのIVが低い水準にある

低価格

上昇する可能性が高い オプションの買い手にとって有利、 売り手にとって不利な状況。
ボラティリティを考慮して売買できれば、マーケットに対して優位性を得られる。
 関連 → 「ボラティリティの活用


■ 明日のオプショントレーダーへ

オプションについて簡単にまとめたけど、どうだったかな?


オプションは色々な目的で取引できるし、売買方法もたくさんあるということが改めてわかったよ。


そうだね。 オプションというのは目に見える「物」ではなくて、単なるアイディア(考え方)でしかないんだよ。


オプションは、物自体を売買するんじゃなくて、物の価格変動を利用したものだから「デリバティブ(派生物)」なんだよね。


そういうこと。 そして、オプションの原資産である「物」についても、実体を伴っている必要はまったく無い。

例えば、日本人の平均寿命や、イチローの打率や、7月の平均気温といった数字に対しても、市場があってオプションの売り手と買い手さえいれば、オプショントレードは成立する。


イチローの打率、6月物コール、権利行使価格 3割2分5厘、買いってか。


もし商品化すれば、そんな感じで取引が行われるだろうね。
単純に考えれば、オプションは難しいものじゃないということが分かってもらえたと思う。

オプションの活用方法や有利な状況でトレードする方法について、この講座でいくつか紹介してきた。
でも、オプションの売買手法はまだまだ無数にある。 少しずつ経験を積みながら、自分に合った売買手法を探してみるといい。


最初は謎だらけに思えたオプションだけど、覚えてみると意外な利用方法があって面白いね。 今後は株だけじゃなくて、オプションにも挑戦してみるよ。


何事も、「習うより慣れろ」だからね。
小さなトレードから始めて、少しずつ経験を積むことが大切だよ。

証券会社に口座を開けば、無料の取引ツールを使って模擬取引を行うこともできるから、取引の練習に役立つよ。
(参考:証券会社の選び方

または、取引所が提供しているシミュレーション・ツールを使って取引を体験することもできる。 オプションの仕組みを確認しながら、トレードの感覚を身につけるのに役立つよ。


おー、便利なものがあるもんだ!
まずは練習から始めて、実戦では小さな取引からコツコツやってみるか。