日本の有価証券オプション

証券オプションとは、証券取引所で売買される株式や上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(REIT)といった「証券」を対象とするオプションのことです。

日本では現在、株式オプションETFオプションREITオプションが取引されており、これらはまとめて「有価証券オプション(通称かぶオプ)」と呼ばれます。

個別株式のオプション(有価証券オプション)

株式オプションとは、トヨタ、日立、ソニーといった上場企業の株式を原資産とするオプションのことです。

株式オプションの取引高は、全銘柄の合計で1日当たり約3,400枚の取引高となっています。(2015年実績)

■ 2015年の有価証券オプション取引高(1月~12月 合計)

総取引高 : 834,886枚 (前年比 21%減)
一日平均 : 3,422枚

東証 株式オプション取引高の推移(2016年6月まで) 株式オプション 投資部門による取引状況(2016年6月時点)
(JPX マーケット・ハイライトより)

2011年より、国内の大手証券会社が有価証券オプションのオンライン取引に初めて対応し、個人投資家にとっての取引環境が改善されました。 しかし、その後は個人による取引がわずかに増えたものの、全体の取引量が大きく増える状況にはなっていません。

2014年3月にはSBI証券とカブドットコム証券の2社が株式オプションの取扱いを休止し、国内のネット証券会社では光世証券のみが取扱いを継続しています。

ETFオプション

2008年5月、上場投資信託(ETF)を対象とするオプションが初めて大阪証券取引所に上場されました。
現在は大阪取引所(旧 大阪証券取引所)にて、10種類程度のETFオプションが上場されています。

オプションの取引対象となっているETFは、ダイワ上場投信―日経225(銘柄コード1320)、日経225連動型上場投資信託(1321)、上場インデックスファンド225(1330)、TOPIX連動型上場投資信託 (1306)などです。

投資家はこれらのオプションを利用することにより、日経平均株価に連動するETFを保有しながらカバード・コールを売ったり、ETFを保有しながら保険としてプットを買うといった取引が可能になります。

しかし、現時点では国内のネット証券による取扱いが無く、個人投資家による取引は難しい状況です。

REITオプション

不動産投資信託(REIT)を対象として取引されているオプションが「REITオプション」です。

オプションの取引対象となっているREITは、日本ビルファンド投資法人(銘柄コード8951)、ジャパンリアルエステイト投資法人(8952)、野村不動産オフィスファンド投資法人(8959)、ジャパンリアルエステイト投資法人(8952)などです。

株式オプションやETFオプションと同様、個人投資家によるREITオプションの売買は現在ほとんど行われていません。

株式オプション、ETFオプション、REITオプションは取引の仕組みが同じであるため、これらはまとめて「有価証券オプション(かぶオプ)」というカテゴリに分類されます。

今後の可能性

2011年のネット証券会社による取扱い、さらに2014年にはデリバティブ市場の統合といった市場改革が進められましたが、2015年の株式オプション取引高は前年比20%減となっており、厳しい状況が続いています。

国内のデリバティブ市場が大阪取引所に一本化されたことは、市場の拡大に向けて一歩前進といえるでしょう。 しかし、アジアや欧米各国で取引所の競争が激化する中、日本独自の優位性を見い出せなければ厳しいというのも現実です。

オプション先進国の米国市場では、一日に数千万枚という規模の株式オプションが取引されており、多くの個人投資家が取引に参加しています。さらに、市場のボーダーレス化と電子化によって、今では日本のオプショントレーダーも米国市場で自由に取引を行えるようになっています。

国境を越えた取引所の競争は、今後より一層激しくなると予想されます。今はまさに、日本の株式オプションが生き残れるかどうかの正念場かもしれません。

(参考:有価証券オプションの対象銘柄